ハンドメイドでレザークラフトをやっています。合間にハーレーとワーゲンの空冷エンジンで遊んでます。そんなラブ&ピースなブログです。

2022年02月13日

身体と意思を繋ぐベルト

 身体と意思を繋ぐベルト


 今月の11日に発売されたバイブズNO341

 その特集である 『OVER THE WIND』

 ハンディキャップを乗り越えてでもバイクに乗り続ける強い意志。

 とても感動しました。



 身体と意思を繋ぐベルト


 この特集で巻頭を飾った一台のバガートライクと一人のあるバイク乗りの表情。

 内容は雑誌を読んで頂ければわかりますが、SUGAR工房もこの物語にほんの一部だけ携わらせて頂きました。

 

 身体と意思を繋ぐベルト


 少し前の話なのですが、いつかこのバイクとオーナーの事が世の中に出るまで大切に取っておいた話です。

 世の中に出るという表現が正しいかはわかりませんが、一番最初に紹介するのがSUGAR工房のブログやSNSではないという事。

 順序や配慮いうか、自分の中では関わった人への敬意として。



 身体と意思を繋ぐベルト


 それは確か去年の5月の終わりころだっただろうか。

 一通のInstagramのDMだった。

 差出人はセレクテッド東京のHIYUさん。


 『今製作中のカスタムバイクのベルトを作ってくれませんか?』


 バイクのベルト?

 最初意味が分からなかった。

 そもそもセレクテッドさんとのお付き合いもなく突然だったので電話をして直接お話を聞きに行った。

 その時のバイクの状態がコレだった。



 身体と意思を繋ぐベルト



 正直お店に向かっている時の気持ちは複雑だった。

 セレクテッド東京と言えばニュースクール系のカスタムで数多くのショーでアワードを取り、あの有名な映画のバイクも手掛けていたカスタムショップ。

 少しだけ電話でお話こそは聞いたものの何百万するカスタムバイクの仕事に関わる事のプレッシャーもあったのも事実。



身体と意思を繋ぐベルト



 実際にお会いしてバイクを見ながらお話を聞かせてもらった。

 作りたいのはバイクと身体を固定する革のベルト。

 オーナーのユンさんは下半身に力が入らない為にこのベルトが必要になるそう。

 以前チョッパーさんが作ったトライクを長く乗っていて、降りてから数年。



 身体と意思を繋ぐベルト



 腕の良く名の知れた革の職人さんは多くいる中でなぜ面識すらない自分に声が掛かったのかを聞いてみると

 7th-Heaven Art Jewelryの馬場さんから紹介してもらったと。

 馬場さんとは一度だけご挨拶をさせて頂いただけであるが、自分の周りには深くつながっている人も多い。

 そして今や世界でも一目置かれるシルバースミスである。


 その馬場さんがSUGAR工房を紹介して頂けるなんて責任も大きいがとても光栄な事。


 身体と意思を繋ぐベルト



 何より

 『もう一度バイクに乗せてあげたい。』

 その一言でそれまでの全ての迷いは吹っ飛んだ。

 シンプルでこれ以上の言葉はない。



 身体と意思を繋ぐベルト


 まず取り掛かったのはバイクとベルトを繋ぎとめる金具。

 そのイメージは帰り道にバイクの上で浮かんでいた。


 何かを思いついたりヒントは、ふとした時やバイクの上だったりする事が多い。


 何か代用できそうな物を探したが、どれもほんの少し違うので一から手加工で作る事にした。

 5ミリの銅板を切り出して微調整を繰り返して出来たカッパーカラーのジョイント。



 
 身体と意思を繋ぐベルト


 その後オーナーのユンさんも交えて再度打ち合わせと採寸。

 その時にはリア周りのFRPの仮付けが出来上がっていた。


 色んな話と想いを聞かせて頂きました。

 寸法や形はもちろん季節の違いのシーンやこだわりなども含めて

 正直見た目は少し怖いけど、バイクの話をする時の目はキラキラして優しかった。

 そして強かった。


身体と意思を繋ぐベルト


 大きなこだわりの1つであるトライクに見えないギリギリの幅のバイク。

 実際は横に車椅子を入れる箱が付くが正面から見るとほどんどバイクのシルエットに近い。


 事前に作って来た銅のジョイントが当てがって話を詰めて行く。

 ベルトを作る者、バイクを作る者、それを乗る者、支える者。

 それぞれ違うがベクトルは全て同じ。



 身体と意思を繋ぐベルト


 ジョイントはセレクテッドさんでブラックのパウダーコートを施してもらいました。

 実に美しい物になった。

 小さなパーツだけどズシリと重厚感が漂う仕上がり。


 身体と意思を繋ぐベルト


 そして7月に完成した。

 使った革は程よくマットな2ミリ厚。

 それを耐水性を高める加工を施して裏表で2枚に全て縫い合わせた。

 そうする事で両面が吟面となって更に摩擦と雨に強くなる。

 暖かい時期はTシャツの中にベルトを通すとの事なので汗にも強くなり痒くなりづらい。

 もちろん身体と触れる部分の裏面には金具を使わない。



 身体と意思を繋ぐベルト


 バックルは黒メッキが掛かった物を使った。

 形はシンプルで余計な主張をしないように。

 それはバングルだけじゃなく全体的にそう気を使った。



 身体と意思を繋ぐベルト
 
 
 このベルト単品をポイントとするならばもっと色々と考えられる。

 配色やレースアップ、スタッズやシルバーコンチョなどの装飾なども良いのかも知れない。



 身体と意思を繋ぐベルト



 でもこれはあくまでもバイクのパーツ。

 バイクとの一体感とバイクを引き立たせるための役者で無ければならない。

 そこに色々とアレンジするのはただの職人としてのエゴに過ぎないと思う。


 身体と意思を繋ぐベルト

 
 何よりもこのベルトは身体とバイクを繋ぐベルトなので耐久性が大事。

 命を繋ぐ道具である。

 そして車椅子を担ぐ際のグリップの役割もあるのである程度のコシも必要。



 
身体と意思を繋ぐベルト



 当然ながらいくら全てに強靭なナイロン糸を使っても革は少しは伸びるし、使っていればいづれ糸も切れる。

 特に何度も通すバングル部分などはへたりやすいのは否めない。


 極力それを考慮して作ったがそれは壊れにくい物。

 遠方や連絡先の知らない人とまた連絡の取れる人や近場の人とも作る物も変わってくる。


 今回は壊れない物ではなくて直しやすい物。

 ダメになったらいつでも直せるって思う安心感があると使う人は純粋に楽しめる。


身体と意思を繋ぐベルト



 実は一本失敗したので作り直しました・・・

 作っている内にもっと良い方法が浮かんでしまい納得できなくてやり直し。

 入念に考えて計画しても手を動かす事でしかわからない事がたまにあります。

 それもまた甘いのかも知れませんが、時には少し嬉しかったりもする。



 身体と意思を繋ぐベルト


 そして7月中旬に納品。

 写真はセレクテッドのHIYUさん。

 聞けば元俳優さんで相当男前です。

 とりあえずSUGAR工房の仕事はここで一幕終了です。

 ありがとうございました。
 


 予定では7月末の納車のはずだったのが、外装の遅れなどでまだまだ先になるらしい。



身体と意思を繋ぐベルト



 そして12月の初めになってとうとうこの日がやって来た。

 実際のバイクの完成度は想像を遥かに超えていた。

 さすがの技術力とセンス。

 そして良い物を作ろうとする果てしない努力の形がそこにあった。


 それに初めて乗り込み走らせる。

 元々車椅子トライク乗りなので最初だけ少し戸惑ったもののすぐに乗りこなしていた。



 身体と意思を繋ぐベルト



 いくら完成度を高めた物を作ってもある意味いつまでもバイクとしては完成しない。

 車とは違い最後の完成の仕上げは人そのものである。

 そのオーナーが跨った時にこそバイクとして成り立つ。


 人馬一体と言う言葉。

 まさにこの写真を見ればわかる。

 
 身体と意思を繋ぐベルト


 ベルトも丁度良いと喜んでくれた。

 やっと一安心し心から嬉しかった。

 これで本当の納品完了となる。



 身体と意思を繋ぐベルト


 夕暮れの中を少し走って来て笑ってユンさんは言う。


 『やっぱりバイクは最高だな!!』


 今ここにいる全ての人がその表情と一言だけで満たされていた。


 
身体と意思を繋ぐベルト


 写真だとわかりづらいですが塗装も芸術品の様に綺麗だった。

 チョッパーさんが作るトライクも迫力があって確かに格好いいけど、このバイクは全てが美しい。

 これはセレクテッド東京さんでしか作れないバイク。



 身体と意思を繋ぐベルト


 最後の目的地はユンさんというオーナーさんの笑顔の為。

 どんなに試行錯誤を繰り返して壁にぶち当たっても明確なこの目的があるから。

 それに少しでも携われた事を心から誇りに思います。




 身体と意思を繋ぐベルト


 身体の自由を失ってもまたバイクに乗りたいと思う意思。

 そして金銭面の事も含めてその為にどれだけの努力をして来たのだろう。

 ユンさんはそれを見せないが、到底自分達には想像すら出来ないであろう。

 ずっと変わらずバイクに乗っている俺たちが決してわかったような事など言えない。

 だから冒頭にも書いたとおりに本当に強い人だと思う。


 違う言い方をすればそれでもバイクに乗りたいと思う事って。


 以前ある方が言っていた。

 『バイクは人類が作り出した最高傑作の一つだ。』 と


 ますますバイクの魅力を感じさせて頂きました。



 半年間溜めたブログだけに書きたい想いに溢れて恐ろしい長文になってしまいすいません。

 
 最後に

 SUGAR工房に作らせて頂いたユンさん。

 信じて頼んでくださったセレクテッドのHIYUさん。

 紹介してくださった7th-Heaven Art Jewelryの馬場さん。


 おかげで心に残る仕事と経験をさせて頂きました。


 ありがとうございました!

 
 
 SUGAR工房 
 


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